第1話 遥かなる夢の中で
緑の草原の中、花々が華やかに咲き乱れ穏やかな風が流れている。
無数の星が融合した大陸で、不思議な夢に導かれた令嬢イリーナが世界の真実と向き合う壮大な物語
緑の草原の中、花々が華やかに咲き乱れ穏やかな風が流れている。
イリーナはその日、頭の中が早朝の書庫での出来事に支配されていた。あの不思議な夢、そして見つけた古ぼけた本。…
「シルヴィア!まずは私の部屋へ!書庫へ乗り込むにしても、まずは武器が必要よ!」
装備を整えた二人は素早くイリーナの部屋から飛び出し、例の古い書庫へと足を向けた。いつの間にかストーム級戦艦の砲撃は止んでいたが、それがかえって不気味な静寂をもたらしている。…
書庫の扉の前に敵はいなかった。
静寂に包まれた果てしない草原に、風がそよそよと吹いていた。柔らかな小川のせせらぎが遠くで響き、花々が風に揺れる様子が目の前に広がっている。
内熱機関式小型エンジンが静かに唸りを上げ、イリーナとシルヴィアを乗せたミルゼット500は田舎道を進んでいた。…
イリーナとシルヴィアは、購入したばかりの車で地方管理局の元へ向かった。連絡が取れないという噂が気にかかったが、屋敷やその他の細々とした後処理を依頼する必要があったのだ。…
果てしない草原の中に1本の小川が流れている。青空の下、草花が豊かに咲き乱れ、そよ風がまるで花の茎や葉の先をを躍らせるかのように軽やかにやさしく空気を撫でていた。…
「では聞きたいのだけれど……フォルディアーノ・ルカ・サスケ、とおっしゃるのよね? 長いので、あなたのお友達を同じくルカとお呼びしますわ。あなたはここで何をしているの?」
暗闇の中を飛行し続けたミルゼット500は、やがて雲の上へと抜け出た。眼下には、夕暮れに染まる大地が広がっている。オレンジ色の光が地平線から空へと広がり、雲の端が金色に輝いていた。…
夜の帳が完全に降り、空には星々が無数に瞬いていた。その星々の光は、かつての無数の世界を象徴するかのように、イリーナの心に強く映り込んでいった。…