
Illustration 19
#003
「紫翼の戦女、ベリアル」
ベリアルは、天界最強の戦闘天使だった。 六千の戦いで一度も敗れたことがなく、「不敗の守護者」と呼ばれた。 だが天界大戦の日、彼女は自らの意志でリリトリオン・プリマの側についた。
「永遠に勝ち続けることに、何の意味がある?」 プリマのこの問いが、彼女の心を揺さぶった。 初めて敗北を知りたいと願った彼女は、自ら堕天を選んだ。
紫の翼は、堕天の瞬間に生えた新たな力。 天界大戦でプリマが落とされても、彼女は戦場に立ち続けた。 千の敵を屠り、だが結局、自らを負かす者がいないと悟った彼女は戦場を去った。 今もなお、自らを敗北させる存在を求めて広大な融合大陸を彷徨っているという。
「我が爪は、もはや守るためにあらず」――戦場跡に残された言葉