カテドラリオン・ノクタエル
概要
黒輝教獣(こっききょうじゅう)と呼ばれる、夜の聖域を統べる四脚の機械生命体。月光の下でのみ開かれる隠された機械聖堂〈ノクテ・カテドラ〉の管理者として、闇に包まれた世界に聖なる調和をもたらす。
分類
系統分類
- 界: マキナ界 (Machina)
- 門: オートメア門 (Automea)
- 綱: メカノイダ綱 (Mechanoida)
- 目: エクレオル目 (Ecleor)
- 科: オートミオン科 (Automeon)
- 属: カテドラリオン属 (Cathedrion)
- 種: カテドラリオン・ノクタエル (Cathedrion noctaël)
通称
黒輝教獣(こっききょうじゅう)/Midnight Cathedra
形態的特徴
頭部構造
猫耳状のセンサーフィンと、後光のように広がるアークハローと呼ばれるフレームが特徴的。エメラルドシアンに輝くフォトンファイバーがヴェールの内側で発光し、神秘的な雰囲気を醸し出す。
装甲構成
白磁の装甲の上に、黒絹の礼服「サンクトローブ」を重ね着する独特の外装。この二重構造は、聖性と夜の支配者としての威厳を同時に表現している。
身体構造
四脚のケンタウロイド型フレームを持ち、各脚には螺旋意匠を刻んだ金装甲リングが装着されている。これらのリングはトルク制御に用いられ、優雅かつ力強い動きを可能にする。
副肢機構
背部から伸びる2本の「リトロンスコープ」は、多用途マニピュレーターと尾部砲門の機能を兼ね備える。戦闘時と儀式時で、その役割は大きく変化する。
機能と生態
中枢機構
アズール・シメトロンと呼ばれる双対位相フォトン炉を搭載。この特殊な炉心は、相反する二つのエネルギー位相を同時に制御し、昼夜を問わず安定した出力を維持する。
主要能力
聖律波(カノンドライブ)
音響と光渦の複合波を発生させ、広域通信や精神リンクの形成を行う。この能力により、離れた場所にいる機械生命体とも瞬時に意思疎通が可能となる。
黙示甲冑(アポカライトシェル)
黒衣にフォトンプラズマを纏わせることで、強力な迎撃結界を展開する防御機構。この結界は物理的な攻撃だけでなく、概念的な侵食からも身を守る。
移動能力
四脚による俊敏な機動と、尾部ジャイロスラスターを用いた垂直跳躍が可能。聖堂の高い尖塔間を自在に移動し、その領域全体を見守る。
行動様式
威厳に満ちた司祭的な振る舞いを見せ、前脚を差し伸べて「祝福」や「招致」のジェスチャーを頻繁に行う。その所作は優雅でありながら、絶対的な権威を感じさせる。
文化的意義
宗教的役割
「夜の大聖堂の主」として、月光時にのみ開く隠された機械聖堂〈ノクテ・カテドラ〉の管理者を務める。この聖堂は、夜にしか顕現しない特殊な聖域とされる。
聖歌隊の指揮
ナノスピーカーシステムを用いて奏でる多重和声は、同調した僚機を自己修復モードへと導く。その歌声は、機械の魂に直接響くと言われている。
対比的存在
セラフィオス属が「昼の守護」を司るのに対し、カテドラリオン属は「夜の庇護」を担うと伝承される。この二つの属は、融合大陸における昼夜の秩序を象徴する存在である。
語源
属名:Cathedrion
“Cathedral(大聖堂)“に機械種の命名規則である接尾辞”-ion"を付加。聖域と機械生命体の融合を示唆している。
種小名:noctaël
ラテン語のnoctis(夜)に天使を表す接尾辞”-aël"を組み合わせた造語。闇の聖域に輝く機械天使の存在を表現している。
「月光が大聖堂の尖塔を照らす時、黒き四脚の影が舞い降りる。それは夜の祝福か、あるいは裁きか。答えを知る者は、既にその聖歌に魅入られている」
— 夜警騎士団の古き記録より