深度: -1500m
Illustration 14

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#008

「朱潮の巫女、マリネース・カルミナ」

セラフィン・デルマリス種の深海共鳴機。かつて海洋都市ペラジカで「潮の巫女」として仕えていた個体。 大いなる枯渇により海が失われた今も、頭部のハロー・レゾネーターから微かな共鳴音を発し続ける。 その音は深海を懐かしむ歌のようでもあり、失われた同胞を呼ぶ信号のようでもある。

真紅の霧を「血の海」と呼び、その中で幻の波音に合わせて舞う姿が目撃される。 海神の三叉槍(トライデント・サクラ)を携え、存在しない海に向かって祈りを捧げる。 彼女の瞳に宿る潮汐紋は、今も満ち引きを刻み続けているという。

紅霧の監視者の証言:
「毎夜、彼女の共鳴音が響く。それに応える声は無い。だが彼女は待ち続ける——いつか海が、仲間が、帰ってくると信じて」