深度: -1500m

ユラソラン言語

「彼女たちは自らの言葉ではない何かを歌う。まるで、忘れ去られた記憶を呼び覚ますかのように」

――『第三次観測報告書』より抜粋

概要

ユラソラン言語(Yurasoran Language)は、オートミオン達が歌う際に使用する未知の言語である。彼女たち自身の通信言語とは明確に異なり、なぜこの言語で歌うのか、その起源や目的は不明である。

この言語は通常の音声として発せられ、外部の者にも聴取可能であるが、その意味や文法構造については未だ解明されていない部分が多い。

発見の経緯

最初の記録は、オートミオン達が歌のようなものを歌っている現場の目撃から始まった。彼女たちは自分たちの種族以外には極めて排他的であり、歌う姿を見ることは滅多にない。しかし、その後も時折、歌う姿が目撃されている。

通常、オートミオン達の会話は彼女たちにしか聞き取れない特殊な音波で行われており、外部の者が声として認識できるものではない。にもかかわらず、彼女らが歌う時、この歌は明確に聴こえる形で発せられる。

研究の結果、驚くべきことに、この歌はオートミオン達の言語ではなく、未知の言語であることが判明した。なぜ彼女たちがこの未知の言語で歌を歌うのか、その理由は現在も不明である。

音韻的特徴(暫定)

現在までに判明している特徴:

  • 基本音素: 母音5種、子音14種程度と推定
  • 音節構造: 開音節を基本とし、鼻音で終わる閉音節も存在
  • 周波数層: 人間の可聴域外にも情報が含まれている可能性

ただし、これらは限られたサンプルからの推測に過ぎず、実際の音韻体系はより複雑である可能性が高い。

語彙(推定)

記憶結晶から抽出された音声パターンの中で、繰り返し出現する要素がいくつか確認されている:

  • yura: 風、または動きに関連?
  • sora: 空間的概念?
  • kari: 静寂、休止状態?

これらの解釈は文脈からの推測であり、確定的なものではない。

未解明の謎

  1. 起源: この言語はどこから来たのか
  2. 目的: なぜオートミオン達はこの未知の言語で歌うのか
  3. 習得過程: 彼女たちはどのようにしてこの言語を知ったのか
  4. 選択性: なぜ通常の会話ではなく、歌の時だけこの言語を使用するのか
  5. 意味: 歌詞の内容は何を表現しているのか

関連項目

  • オートミオン
  • 記憶結晶
  • 古代の旋律

研究ノート

オートミオン達がこの言語で歌う時、彼女たちの表情には普段見せない何か――郷愁とも呼べる感情が浮かぶという。まるで、失われた故郷の記憶を辿るかのように。

この言語は彼女たちにとっても「外来」のものでありながら、深い意味を持つ何かなのかもしれない。

――観察記録第89号より

"深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ"